バックアップデータの格納先として磁気テープ装置を使用する場合、テープの操作に mt コマンドを利用することができます。磁気テープは、CD-ROM やフロッピーディスクと異なりマウントをせずに操作可能なデバイスです。デバイス名として通常は、 /dev/st0 や /dev/nst0をを利用します。/dev/st0 は、自動的にテープが巻き戻されるため 1 本のテープで 1 つのファイルのみの取り扱いになります。/dev/nst0 は、自動で巻き戻されないため複数ファイルを扱うことができます。テープには以下の図のようにファイルが格納されます。

また 1 本のテープに入りきらないサイズのファイルは複数テープにわたって格納することも可能です。

mt コマンドは、テープの巻き戻しや読み取り位置の移動、消去といった操作を行うコマンドです。書式は以下の通りです。
mt [-f device] operation [count] |
-f device にテープ装置のデバイス名を指定します。
operation には以下の操作を指定します。
表 31-1. mt コマンドの operation
| eof 、weof | 現在の位置に count で指定された数の EOF を書き込みます。 |
| fsf | count で指定されたファイル数分先に進みます。テープの位置は、次のファイルの 1 ブロック目になります。 |
| bsf | count で指定されたファイル数分巻き戻します。テープの位置は、前のファイルの最後のブロックになります。 |
| fsr | count で指定されたレコード数分先に進みます。 |
| bsr | count で指定されたレコード数分巻き戻します。 |
| fsfm | count で指定されたファイル数分先に進みます。テープの位置は、前のファイルの最後のブロックになります。 |
| bsfm | count で指定されたファイル数分先に巻き戻します。テープの位置は、次のファイルの 1 ブロック目になります。 |
| asf | テープの先頭から count で指定されたファイル番目(絶対指定)の先頭に移動します。つまり、巻き戻してから、fsf で指定した場合と等しい操作です。 |
| rewind | テープを巻き戻します。 |
| status | テープ装置の状態を表示します。 |
| tell | テープ装置のブロック位置を表示します。 |
| retension | テープを一度巻き戻してから早送りし、その後に再度巻き戻します。テープのたるみをなくします。 |
| erase | テープを消去します。 |
テープを先頭まで巻き戻すには以下のように実行します。
# mt -f /dev/nst0 rewind |
現在の位置から 1 つ次のファイルの先頭に移動するには以下のように実行します。
# mt -f /dev/nst0 fsf 1 |
現在の位置に関係なく先頭から 2 つ目のファイルの先頭に移動するには以下のように実行します。
# mt -f /dev/nst0 asf 1 |
![]() | 上記の指定は以下と等しい操作です。
|
テープの内容をすべて消去するには以下のように実行します。
# mt -f /dev/nst0 erase |