ハードウェア障害などの不測の事態や、操作ミスによるシステムの破損、データ消失などに備えるため、システム管理者はシステムのバックアップを検討し行う必要があります。ここでは、バックアップの概要と mt コマンドによるテープ装置の操作および、dump と restore コマンドによるファイルシステムのバックアップ、クライアントサーバー型のバックアップシステム Amanda について解説します。
バックアップ計画は、システムごとに検討が必要です。例えば、データの更新される範囲が限られる場合には、システム導入時や変更が発生したタイミングに全体のバックアップをとり、以降は更新されるデータ部分のみのバックアップを検討すればよいでしょう。更新が非常に頻繁でデータの喪失による影響が大きく広範囲にわたるような場合は、フルバックアップを高い頻度で行う必要があります。データの重要度、復旧までにかけられる時間、データの更新頻度・更新範囲などを考慮し、定期的に実行する必要があるのか、バックアップ範囲はどこまでなのかを適切に判断しバックアップ計画をたてます。また、障害等が発生した際、ダウンタイムを最小限に抑えるために、復旧手順を事前に確認しておくことは非常に重要です。
バックアップには、いくつかの手法があります。システム全体を対象とするバックアップをフルバックアップといいます。毎日フルバックアップを行うということは最も単純で確実な方法ですが、対象範囲が広いためバックアップに要する時間が長くかかり、バックアップデータ容量も大きくなります。複数の磁気テープにまたがるフルバックアップの巨大なデータから必要なファイルを探すといった取り扱いも不便です。
フルバックアップ実施以降に変更のあった差分のみをバックアップする方法もあります。これをディファレンシャルバックアップといいます。また、前日のバックアップからの変更点(増分)のみをバックアップする方法は、インクリメンタルバックアップといいます。いずれもフルバックアップと比較して、対象が小さくなり通常はデータ量や要す時間も減少します。ただ、リストアする際には、毎日フルバックアップを行っている場合には、単純に一番新しいバックアップデータのみを復元すれば良いことになりますが、ディファレンシャルバックアップでは、最後のフルバックアップデータと最新の差分バックアップデータの復元が必要になります。インクリメンタルバックアップを行っている場合には、最後のフルバックアップデータと、その増分をすべて復元することになります。このようにリストアの際に必要なテープの数が異なってきます。

金曜日にフルバックアップをとり、月曜から木曜は、毎日前回のフルバックアップからの差分をとっている場合、フルバックアップデータと直近の差分の 2 種類のテープで復元が可能です。

金曜のフルバックアップの後に月曜から木曜は前日との差分をとっている場合は、日々のデータは更に容量が小さくなります。リストア時にはフルバックアップデータと、昨日まで毎日分のテープが必要になります。

リストアの際には、磁気テープなどの媒体のどこに何のデータが格納されているのかを把握し、適切な順番で操作できることが大変重要なポイントになります。フルバックアップをとった媒体には他のデータを格納しない、曜日ごとのデータの格納先を決めておく媒体のラベルシールなどに日付やバックアップ対象、レベルを明記するなどルールを徹底しておくことが重要です。