5.2. Kickstart インストールの実行手順

Kickstart インストールを実行するには、以下の作業を行う必要があります。

  1. Kickstart インストールの実行方法を決定します。

  2. Kickstart の設定ファイル ks.cfg を編集します。

  3. 編集した ks.cfg をシステムインストールディスク(normal.img)または「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」 のルートディレクトリに配置します。

  4. Kickstart モードでインストーラを起動します。

5.2.1. インストール方法の選択

Kickstart インストールを行うには、設定ファイルである ks.cfg を編集し、そのファイルをインストールディスクにコピーする必要があります。ks.cfg ファイルの書式については、 項5.3 を参照してください。一般的に Kickstart インストールは、フロッピーディスクから開始しますが、インストーラは CD-ROM 上の ks.cfg を読むことも可能なため、編集した ks.cfg を含めた「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」を作成し直して、CD-ROM から Kickstart インストールを開始することもできます。インストールディスクの作成については 項5.2.2、「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」の作成については 項5.2.3 を参照してください。

Turbolinux 10 Server では、ローカル CD-ROM または NFS 経由での Kickstart インストールに対応しています。どちらの方法で Kickstart インストールを実行するかは、ks.cfg ファイルに指定します。NFS 経由でインストールするのであれば、「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」と「Turbolinux 10 Server インストール CD 2」の内容をコピーしたディレクトリを NFS サーバーでエクスポートしておく必要があります。例えば、これら 2 つの CD-ROM の内容を /Turbolinux ディレクトリにコピーするのであれば、以下のように実行します。

「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」を /Turbolinux ディレクトリにコピーします。

# mount /mnt/cdrom
# cp -a /mnt/cdrom /Turbolinux
# eject

次に「Turbolinux 10 Server インストール CD 2」の turbo/RPM/ディレクトリにあるパッケージを /Turbolinux/turbo/RPMS/ ディレクトリとしてコピーします。

# mount /mnt/cdrom
# cp -a /mnt/cdrom/turbo/RPMS/* /Turbolinux/turbo/RPMS/
# eject

/Turbolinux ディレクトリを NFS サーバーで公開する最も単純な設定は以下の通りです。NFS サーバーの詳細については、第15章 を参照してください。/etc/exports ファイルを以下のように編集します。この例では、192.168.0.0/24 のサブネット上にあるホストからの /Turbolinux ディレクトリへのアクセスを許可しています。

/Turbolinux    192.168.0.0/255.255.255.0

次に、portmap と nfs のサービスを起動します。

#/etc/init.d/portmap start
#/etc/init.d/nfs start

/etc/hosts.allow を編集し、クライアントからの /Turbolinux ディレクトリへのマウントを許可します。

portmap: 192.168.0.0/255.255.255.0
mountd: 192.168.0.0/255.255.255.0

5.2.2. インストールディスクに ks.cfg を配置する

フロッピーディスクから Kickstart インストールを開始するには、編集した ks.cfg ファイルをインストールディスクにコピーします。インストールディスクは、ブートディスク、システムインストールディスク、およびドライバディスクで構成されます。各インストールディスクの概要を以下に示します。

表 5-1. インストールディスクの種類

ディスクの種類イメージファイル説明
ブートディスクboot.imgフロッピーディスクからインストールを開始するためのブートディスクです。このディスクは必ず作成しなければなりません。ブートディスクに加え、使用目的に合ったシステムインストールディスクの作成も必要です。
システムインストールディスクnormal.imgSCSI やネットワークカードなど標準的なデバイスドライバが含まれます。IDE(ATAPI)/SCSI 接続の CD-ROM ドライブやネットワークカードを利用してインストールする場合に作成します。
pcmcia.imgPCMCIA の各種デバイスドライバが含まれます。PC カード(PCMCIA)のデバイスを利用してインストールする場合に作成します。
ドライバディスクscsidd.imgnormal.img に入りきらなかった SCSI カードのデバイスドライバが含まれます。normal.img では認識されない機器をご使用でインストーラを起動できない場合に作成します。
netdd.imgnormal.img に入りきらなかったネットワークカードのデバイスドライバが含まれます。normal.img では認識されない機器をご使用でインストーラを起動できない場合に作成します。

フロッピーディスクから Turbolinux 10 Server をインストールするには、ブートディスクとシステムインストールディスクの作成は必須です。ドライバディスクは必要に応じて作成します。したがって、ほとんどの場合は、boot.img と normal.img のみを必要とします。これらのインストールディスクを作成するイメージファイルは、インストール CD の images ディレクトリに格納されています。

Linux 上でブートディスクを作成するには、フロッピーディスクを挿入し、以下のコマンドを実行します。

# mount /mnt/cdrom
# dd if=/mnt/cdrom/images/boot.img of=/dev/fd0 bs=1k

同様に以下のコマンドを実行し、システムインストールディスクを作成します。

# dd if=/mnt/cdrom/images/normal.img of=/dev/fd0 bs=1k
# eject

他のインストールディスクも作成する場合は、イメージファイル名の箇所を置き換えてコマンドを実行してください。

ティップ

インストール CD の dosutils ディレクトリに格納されている *.bat ファイルを実行し、Windows 上でインストールディスクを作成することもできます。例えば、boot.img を作成するのであれば、boot.bat ファイルを実行します。

編集した ks.cfg ファイルは、normal.img から作成したシステムインストールディスクにコピーします。サンプルの ks.cfg ファイルが存在するため上書きを確認するメッセージが表示されます。y を入力して編集した ks.cfg ファイルで上書きしてください。

# mount /mnt/floppy
# cp ks.cfg /mnt/floppy/
cp: overwrite `/mnt/floppy/ks.cfg'? y
# umount /mnt/floppy

注意

ks.cfg ファイルは、normal.img から作成したシステムインストールディスクにコピーします。ブートディスク(boot.img)ではないことに注意してください。

ティップ

作成されたインストールディスクのフォーマットは FAT です。したがって Windows で ks.cfg ファイルを編集し、エクスプローラでコピーすることも可能です。

5.2.3. Kickstart インストール CD を作成する

編集した ks.cfg を含めた自分用の Kickstart インストール CD を作成するには、Linux 上で ISO9660 の CD-ROM イメージを作成するためのコマンドである mkisofs を使用します。以下の手順に従いイメージファイルを作成してください。作成したイメージファイルは、cdrecord コマンドやその他、Windows 上で動作する CD-R ライティングソフトウェアで書き込むこともできます。

はじめに「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」を /tmp/TurbolinuxCD1 ディレクトリとしてコピーします。

# mount /mnt/cdrom
# cp /mnt/cdrom /tmp/TurbolinuxCD1
# eject

作成した ks.cfg ファイルを /tmp/TurbolinuxCD1 にコピーします。「Turbolinux 10 Server インストール CD 1」には、サンプルの ks.cfg ファイルがあるため、上書きを確認するメッセージが表示されます。y を入力して上書きしてください。

# cp ks.cfg /tmp/TurbolinuxCD1
# cp: overwrite `/tmp/dottest/ks.cfg'? y

以下のように mkisofs コマンドを実行して CD-ROM のイメージファイルを作成します。この例では、TurbolinuxCD1-new.iso というファイル名で /tmp ディレクトリに作成されます。

# cd /tmp/TurbolinuxCD1
# mkisofs -V Turbolinux1 -P Turbolinux -A Linux -R -T -J \
 -hide-joliet instimage -hide-joliet-trans-tbl -b isolinux/isolinux.bin \
 -c isolinux/boot.cat -no-emul-boot -boot-load-size 4 -boot-info-table \
 -sort .sort -o ../TurbolinuxCD1-new.iso .

作成した TurbolinuxCD1-new.iso をライティングソフトウェアで CD-R メディアに書き込みます。以下の例は、cdrecord コマンドでの実行例ですが、ISO イメージの書き込みをサポートしているソフトウェアであれば何でも構いません。

# cdrecord dev=/dev/hdc speed=8 -dao -v eject TurbolinuxCD1-new.iso

ティップ

以前は、Linux で IDE(ATAPI)接続の CD-R ドライブにデータを書き込むには、ATAPI デバイスを SCSI デバイスとして見せかける SCSI エミュレーションと呼ばれる設定が必要でした。しかし、カーネル 2.6 を採用している Turbolinux 10 シリーズの製品であれば、ATAPI デバイスへの書き込みがサポートされているため、SCSI エミュレーションの設定は必要はありません。dev=/dev/hdc のように指定することができます。

5.2.4. Kickstart インストールの開始

Kickstart インストールを開始するには、作成したブートディスク、または「Kickstart インストール CD」からシステムを起動し、インストーラに対して以下のインストールオプションを渡します。

ks=floppy

インストーラは、フロッピーディスク上にある ks.cfg を検索し、Kickstart インストールを開始します。

ks=cdrom:/PATH

インストーラは、インストール CD 上の /PATH にある ks.cfg を検索し、Kickstart インストールを開始します。

ティップ

日本語キーボードで = を入力するには ^ を、: を入力するには[Shift]キーを押しながら ; を入力します。

例えば、ブートディスクから Kickstart インストールを開始するのであれば、インストーラ起動時の boot: プロンプトに対して以下のようなインストールオプションを指定します。

boot: install ks=floppy

この場合、インストーラはブートディスク(boot.img)を読み込むと、システムインストールディスク(normal.img)の挿入を要求するメッセージを表示します。フロッピーディスクを差し替えると、インストーラはシステムインストールディスク上の ks.cfg ファイルを検索し、Kickstart インストールを開始します。

Kickstart インストール時にドライバディスクを適用するのであれば、通常のインストールと同様に dd オプションを指定できます。

boot: install ks=floppy dd

インストール CD からインストーラを起動した場合は、以下の画面が表示されます。

Kickstart インストールを開始するには、インストールオプションから "kickstart" を選択します。インストーラはインストール CD のルートディレクトリにある ks.cfg ファイルを検索し、Kickstart インストールを開始します。"kickstart" オプションは、以下のように boot options に入力した場合と同様の動作をします。

ks=cdrom:/ks.cfg

また、boot options に以下のように入力すれば、フロッピーディスクにある ks.cfg ファイルを検索して、Kickstart インストールを開始することも可能です。

ks=floppy